19の夏~私の愛した殺人鬼~

 それがキッカケで、月に一度や二度の喫茶店デートがはじまった。


 デートだなんて大げさかもしれない。


 約束もせずに喫茶店に行き、出合ったときのように偶然に二人が顔をあわせる。


 その度に栗田は新しい文庫を読んでいて、物語の話に夢中になった。


 栗田が読む本はシェイクスピアに限らず、メアリ・シェリーのフランケンシュタインだとか、夏目漱石の坊ちゃんだとか、どこかで聞いたことのある名作たちだった。


 正直、中学を卒業するとあえなくなる。


 と、二人は心の中で思っていた。


 話はするが、名前も知らない。制服でお互いがどこの学校かはわかっても、知っているのはそれだけだった。
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