19の夏~私の愛した殺人鬼~

 紗耶香は、昌代の顔にかけられた白い布に、手をかける。

 しかし、その右手がどうしても震えてしまって、『布を取る』という、ただそれだけの行為ができない。

 この布を取ってしまうと……昌代の顔を見てしまうと……認めるしかなくなってしまう。

 もうこの世にはいないのだと、現実を突き付けられてしまう。

 それが、こわかった。


 その時だった、後ろからヌッと手が伸びてきたかと思うと、昌代の顔にかけられた布がパッと剥ぎ取られたのだ。


 思わず、小さな悲鳴をあげて目をそらす。

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