19の夏~私の愛した殺人鬼~
バスの近くにいる男は20代前後で、今は真っ青な顔をしている。
今にも走って逃げ出してしまいそうな雰囲気もあった。
耳にへばりつけていた携帯が、コール音から
「もしもし?」
と、藤堂の声へと変わった。
「藤堂、見えるか?」
当然、新田は藤堂が車の中で待っていると思って話を始める。
「何がですか?」
一方、藤堂は式の受付を終らせて、お経の鳴り響く会場へ足を踏み入れようとした時だった。
「右手に見える男だよ」
新田は、車とバスの位置を確認し、そう言った。
「右手に……?」
藤堂はそう聞き返しながら、視線を右へと移動させる。
そこには、受付の男と女が目に入る。
冠婚葬祭の社員だ。