19の夏~私の愛した殺人鬼~

 男はその声にハッと気付き、一瞬新田と目が合った。


 その瞬間、並んでいるバスに見え隠れしながら、走り出す。


「待て!!」


 怒鳴り声を上げて男の後を追う新田。


藤堂はどこだ?


 もう合図は送っている。

 なのに、藤堂の姿が見えない。


 男はグングン速度を上げて新田を引き離す。


「逃げるな!!」


 そう言われて止まる人間は、まずいない。


 しかし、叫ばずにはいられない性分なのだ。


 男は駐車場を飛び出し、大通りを走りぬける。


< 68 / 356 >

この作品をシェア

pagetop