19の夏~私の愛した殺人鬼~

 テープをくぐったその向こうには少しだけ開けた場所があり、その中央部分にドラマでしか見たことのない、人型のフィンガーペイントが残されていた。


 その現実を突きつけられた瞬間、紗耶香は軽いメマイに襲われ、その場にしゃがみこんでしまった。


 持ってきた白い花が、悲しげに風に揺れる。


 絞殺のため、辺りに血が飛び散っていなかったのは幸いだった。


 生々しい血痕などが残っていたら、メマイ所ではすまなかったかもしれない。


「お姉ちゃん……」


 しゃがみこんだままそのペイントを指でなぞり、呟く。


 式の最中では殺されたという重すぎる事実が涙を妨げていたが、今になって目の奥がジンジンと熱くなる。


 そんな紗耶香の頬に涙が流れた……その、瞬間。


< 85 / 356 >

この作品をシェア

pagetop