19の夏~私の愛した殺人鬼~
 後方から草木を掻き分ける物音がして、ハッと振り返った。


「誰?」


 携帯電話で、暗闇を照らし出す。


「栗田君!?」


 暗闇に浮かび上がったその人物に、紗耶香は目を丸くする。

 そこには、昼間のスーツ姿とは違うラフな格好をした栗田が立っていたのだ。


 目の前の紗耶香に一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに笑みを作り、

「やっぱりここだと思った」

 と、栗田も立ち入り禁止のテープをくぐる。


「どうして?」


「どうせ親に黙って出てきたんだろ?」


 少々呆れたような口調の栗田に、紗耶香は「あ……」と呟く。


 確かに、誰にも行き先を告げずに家を飛び出してきた。


 と言う事は、栗田は紗耶香の親から何らかの連絡を受けて、ここまで探しに来たのだろう。

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