19の夏~私の愛した殺人鬼~

 ここは山の中だ。

 ちょっと大きな野生動物くらいいくらでもいる。


 紗耶香はそうである事を祈りながら、栗田の服をギュッと掴んだ……その時。


 紗耶香のすぐ横の枝が、激しく揺れた。


「キャァァッ!」


 激しく悲鳴を上げ、握っていた携帯電話をその場に落とす。


 栗田がその場所を照らし出したとき……大きな目玉が暗闇の中にフワフワと浮いていたのだ!


「だ……、だ、誰だ!?」


 声が裏返り、持っている懐中電灯が小刻みに揺れる。


 そして、その瞳の持ち主が、

「星にはならない」

 と言った。


 よくよく見ると、黒い髪に黒い服を着ているからその人物が見えなかっただけで、目玉が浮いているわけではないようだ。


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