19の夏~私の愛した殺人鬼~

「星になるっていうの、本当だと思うよ? 僕は」


 優しいその言葉に、隣の栗田を見る。


 瞳の奥の黒目が、紗耶香の顔を映し出した。


 二人の顔が自然と近づき、目を閉じる……。


「誰だ!?」


 突然の栗田の声に驚き、紗耶香はハッと閉じた目を開けた。


「なに?」


「今、誰かいた」


 現場の更に奥を懐中電灯で照らしながら、栗田が険しい口調で言った。


 紗耶香は栗田の背中に身を隠しながら、片手で携帯電話を開ける。


 いざというとき、すぐに警察へ知らせるためだ。


「犯人は現場へ戻ってくるって言うわ」


 背中越しに爽香にそう言われて、

「わかってる」

 と、返事をする。


 しかし、ずっと暗闇を照らし出していても、何かがいる気配はない。


< 88 / 356 >

この作品をシェア

pagetop