たぁ坊とるぅ *32page*
「見ぃちゃったー見ぃちゃったー♪」
翌朝、ガラリと教室を開けると、まるで子供みたいな歌で迎えてくれたランちゃん。
「お、おはよ」
私が窓際の自分の席につくと、ランちゃんは回転しながら踊りそうな勢いで前に座った。
「何よ何よ。ラブラブじゃないのあんた達♪」
「いや、あの‥」
昨日は眠れなかった。
なんかすごく‥
まだ背中に残ってる。
アイツの‥体温。
「思い出しただけで赤くなってるー♪かーわいー」
「うわっ、ちょ、ランちゃん」
抱き締められて撫でくりまわされている私は、
ノッポのランちゃんに比べたら、ちんちくりんな人形サイズだ。
「これで手繋ぎらしきものと、キスらしきものは完了だね♪」
「わわっ」
また思い出しちゃった。
顔が、だんだんと熱くなってくのが分かる。
「うふうふー」
そんな私を、ランちゃんはニタニタしながら見ていた。
「じゃー次はぁ、セッ‥」
「ランちゃんっ!!」
何の経験もない私でも、ランちゃんが何を言おうとしたのかくらい分かるよ。
「ごめんごめん。可愛くてつい♪」
「う~‥」
「あはは。今日こそはちゃんと言いなよ?」
「え?」
「お・め・で・と・う」
「あ‥」
そうだ。昨日は結局、言えなくて。
だから今日こそは!!
「そして押し倒されてしまえ♪」
「ランちゃんっ」
「あはは」
今日も、待っててくれるかな?
ドキドキする胸をグーで抑えながら。
今日こそはと決心を固めたんだ。