【続】幼なじみは俺様王子。
「んなこと、する必要ねぇだろ」
「えっ?」
……どうして?
コンテストで賭けるのは楓。
負けた方が身を引くって約束。
それなのに、する必要ないって言うの?
そう聞きたかったけど、聞けなかった。
……本当の楓がわからなくなっていた。
転校してきてからというのも、柚月サンは楓にべったりで。
それはたとえ違うクラスのあたしにだって耳に入る。
“王子に現れた最高のお姫様”
みんな柚月サンのことをそう呼んでいた。
楓も柚月サンを拒んでいる様子はなかった……。
昔のあたしとは違う。
一年前、楓のファンの子達を振り切ることが出来たあの時から、少しは変われたと思った。
だけど黙って眺めてるこのままじゃ、あの頃と全然変わらないのに……。