春夏秋冬

二度目の秋



風が寂しさを感じさせる秋、いつきの様子が変だった。
いつものベンチに座るいつきは、ボーッと空を見上げ考え事をしているようだったが、その度に深いため息をつく。最近はいつもこうだ。
「食堂行かないの?」
優が声をかけるといつきは顔だけをこちらに向け、
「あ、うん。何か食欲なくて…」
「どっか悪いの?」
「ううん。大丈夫だよ」
そう言いながら笑ういつきだが、その笑顔が無理してるように見えた。とりあえず優はいつきの隣に座る。
「ねえ優ちゃん、今週の日曜日は桜さんとデート?」
「うん」
最近は桜さんの仕事が落ち着いてきたみたいで、ここ一ヶ月は毎週のように会っている。
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