春夏秋冬
またか…。
少し憂鬱になりながらも優が受け取ると、その人は最後まで何も言わず頬を赤らめどこかへ行ってしまった。
「……」
優はしばらく手紙を見つめ、そして近くにあったごみ箱に手紙を捨てようとした。が、突然の大きな声に遮られてしまった。
「あー!駄目だよ、優ちゃん!」
「いつき…」
中学の時からの親友であるいつき。二つに結った髪をピョンピョン揺らしながら走って来て、優から手紙を奪い取った。
「これラブレターでしょ?」
「知らないよ。中身見てないし…」
だが、おそらく中身はいつきの言う通り甘ったるい言葉が書かれた内容だろう。
高校の頃から何故か優は女性にこういう物を貰う機会が多い。
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