春夏秋冬
一人その場に残った桜。一人でいる事には不安があったが、早紀達もすぐに戻って来るだろうし、目の前の店には優達もいる。だから大丈夫だろう。
だが、神様というのは悪戯が好きらしい。
「おー?彼女、美人さんだねー」
「!」
突然声をかけてきたのは三十代ぐらいの男性。昼間だというのに顔を赤らめ、お酒を呑んでいた。
酔っている男性は遠慮も無しに桜の隣に座る。鼓動が跳ねる。
「よかったら俺と付き合ってくれない?」
「ごめんなさい…友達と一緒なので…」
誰でもいいから早く戻って来て。じゃないと私は…。
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