♂GAME♀
輝の言葉に、室内の空気が一瞬凍りついた。
輝の目的であり、ゲームの理由でもある自分の出生について。
誰もが、口をつぐんだ。
『施設に寄付するくらい気になってるのに、どうして引き取らなかったんだ?』
それでも輝は続ける。
目を反らす事もなく。
ただ、中林社長の目だけ見て……
『まさか、産まれてると思わなかったから……かな』
と、中林社長が静かに口を開いた。
『この事業を始めたばかりで、結婚する事、子供を育てる事に余裕がなかったんだ。 体力的にも精神的にも……』
少し寂しそうな表情を見せる中林社長。
あの寄付も、もしかしたら罪ほろぼしかも知れないと思った。
『彼女が亡くなる直前に初めて聞かされたよ。 輝くんが生きている事を』
色々とあったんだろう……
この人も、決して悪人じゃない。
『施設で輝くんを見つけた時、自分の手元で育てようと思ったよ。 だけどようやく軌道に乗った仕事を、スキャンダルで潰されたらと思ったら……』
と突然、バンッと大きな音がして話が途切れた。
輝が、右手の拳を強く机にぶつけたからだ。
『スキャンダルって、自分の蒔(マ)いた種だろーが』
怒りを抑えたような低い声が、静まった部屋に響く。
『あんたは、俺達にとって親切で優しいおじさんだった。 皆が慕ってた』
まだゲームを始める前だったかな。
輝は、中林社長の事を私に聞いた。
「本当はどんな人だろう」と……
『俺も、あんたが父親ならいいなって思った時もあった。 なのに、スキャンダルとか生きてると思わなかったとか……無責任で……』
怒りか、悲しみか……
机の上に乗った手は、カタカタと震えていた。
『だけど、あんたが父親で、あの日優しかったおじさんが父親で、何だかいつも俺だけ特別扱いだって…… 不覚にも嬉しいとか思ってしまった……』