♂GAME♀



この3ヶ月。
輝が会いにきてくれる事ばかり考えてた。

名古屋に行こうって言ってくれる事ばかり待ってた。

正社員とかならなくても、適当に仕事して過ごしてたら迎えがくるって。


とんだ甘えん坊だった。



『咲耶。 やっぱお金貸して』

早朝……
恐らく仕事で徹夜しているであろう咲耶を自宅に呼び出し、詰め寄る。

『……は?』

こんな反応なのも仕方ない。

つい先日、お金は貸さないと言われたばかりなのだから。

『もう待ってるだけの女は卒業すんの!』

『それは、名古屋に行くための資金って事か?』

少し呆れたようにも見える咲耶に、思い切り首をふる。

『名古屋には、自分の力で行きたいの。 それにはお金がいるの』

ただ名古屋で甘えた生活をするわけにいかない。

輝の荷物になるわけには、いかない。

『聞くが…… 返すあてがあるのか?』

『……うん』

『ギャンブルに使うわけじゃないんだな?』

『うん』

ある意味、ギャンブルかも知れない。

だけど、それは黙っているのが得策だ。

『わかった。 綾香がいるだけ貸そう』

い……

『いいの!?』

『どうしてもいるんだろ?』

『うん! ありがとう!!』

咲耶の手をギュッと握り額を寄せる。

小さな溜め息が聞こえたけれど、これで輝に近づけると思うと嬉しくて堪らない!!

『僕も馬鹿な男だったという事か……』

『必ず返すよ! 大丈夫!』

咲耶の気持ちと、咲耶のお金。
決して無駄にはしない。

『ところで、何にそうお金が要るんだ?』

『輝の一番近くにいくために』

『は?』

『お荷物としてじゃなく、輝の役に立つために必要なの』

もう今までのように待つだけの女はやめる。

自分の力で、輝に会いにいくよ……
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