♂GAME♀
『とりあえず飲みなよ』
コトンとテーブルに置かれた烏龍茶。
こいつ、私を未成年だと思ってるでしょ。
まぁ、まだ19だけどさ……
『輝がここに来たのは、輝が18くらいの時かな』
ってか、今いくつなのかも不明ですけど。
『ほら、綺麗な顔をしてるだろ? オーナーが一目惚れして拾ってきたんだ』
輝の事を嫌いなはずの咲耶が、輝の話を嬉しそうに話す。
そこに違和感を感じながらも、少し安心した。
あのネットの噂は、ただの噂なんだろう。
この人からは、そんな嫌な感じがしないもの……
『何で、輝がこんなゲームを始めたと思う?』
『……え?』
突然の質問に、答えなんてなく、ただポカンと口を開けただけだった。
それを見た咲耶は、クスクスと馬鹿にしたように笑う。
前言撤回。
やっぱムカつく奴だ。
『最初は、自分に付きまとう女の子達を遠ざけるためだった』
遠ざける?
『どこにも答えなんてないクイズを出して、諦めさせる。 「ゲームに勝てたら付き合っていいよ」なんて、よく言ってたな……』
答えのないクイズ……
確かに、どれだけ調べても出身地すら出てこない。
『それに、自分をよく見せたいだけのために輝を欲しがる女は、必死に答えを捜さないだろう?』
『そうだけど…… もし本気で好きになった人は、どうしたら……』
告白する事も、答えてくれる事もない。
宛もなく、ずっと輝を捜し続けるんだろうか。
どこにも、答えなんて載ってないのに……
そんなのあまりにも可哀相……
『大丈夫だよ、一種の才能だろうね。 輝は、相手の気持ちが手に取るようにわかるんだ』
『え?』
『本気の相手には、クイズを出さない。 自分に立ち止まらないようにね』
なんか、それって……
優しいようで、すごく冷たい……気がする。