好きを私にください。
「先生…っ!!」


あたしは、走った。


「なんでっ…!!」


あたしはその人の目の前で立ち止まると、そう言った。


塾の前に立っていたのは、先生だった。

いるはずのない、和ちゃんだった。


「なんでっ…。」


涙が頬を伝い続ける。


「俺、異動になったんだって。」

「知ってるけどっ…。」

「俺、異動になったの、ここだから。」


そう言って、塾を指さす。


「嘘ぉ…。」


あたしの学校から、歩いて8分程の距離にある新しい塾。

そこに、異動になったって言う先生。


「本当。」

「先生~。」

「俺が新しく住んでる所、結構アンタんちの近くだから。」

「っ…。」


もう、ヤダ…。


「明海。」

「っ~、じゃあ、会いたいときに会える…?」

「当たり前。」

「遠恋しなくていいの?」

「うん。」

「ぅ…先生~っ。」


あたしは人目も気にせず、先生に抱き付いた。


「先生っ…先生~っ。」


ちょっとタバコ臭かったけど、あたしを待ってた証拠。

外でタバコ吸うんだもんね、先生。


あたしの高校も知ってるしね。
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