不器用なシタゴコロ
「…で、そのケータイどうしたの?」
お店が開いていれば。
お店の前に落ちていたと言って預けておくこともできた。
彼がケータイを落としたのに気が付いて。
お店をたずねてくるかもしれない。
…でも。
本日、定休日…。
沙保との待ち合わせにも遅れてる。
明日。
お店の前に落ちていた、とパン屋さんに預けにいこう。
そう思って。
彼の落としていった黒いケータイを。
バッグにしまったんだ。
…と、ここまで。
駅前で待っていた沙保に話し終えたところで。
お気に入りのティールームの前に着いた。
「まぁ、駅前の交番より落としたところに預けておいた方が気付く率高そうだしね」
沙保はそう言って“はいる?”とティールームを指差す。
「いいよ」
「遅れたから柚のおごりね」
…はいはい、わかってます…。