不器用なシタゴコロ
聞き慣れない音楽が耳に入る。
それはティールームのBGMとは違う。
もっと軽快なメロディー。
…ケータイ…?
でも。
私の音じゃない。
…沙保かな?
チラリ、と沙保を見ると。
沙保は私のバッグを指差した。
「柚、ケータイ鳴ってない?」
「え?!沙保じゃないの?」
「私、音消してある」
私でもなくて。
沙保でもない。
でも音は近くから聞こえる。
周りの人もチラチラこっちを見てる。
…私たちじゃないのにぃ!!
そこで、思い出したように沙保が言った。
「…拾ったケータイじゃない?」
…拾った、ケータイ…?
沙保に言われて気付いた私は。
バッグを開けた。
…音が大きくなる。
ここが音の発信源。
私は黒いケータイをバッグから取り出した。