不器用なシタゴコロ
「…いい飲みっぷりだね、ゆずサン」
「…とーやクンこそ」
お互い飲めるとあって。
料理をつまみながらも次々に空いていくジョッキにグラス。
「俺、飲み比べするつもりはないんだけどなぁ」
「…アハハハハ…」
いやいや。
私も飲み比べなんてするつもりないよ?
「ゆずサン酔わすには相当酒強くなきゃ無理だね」
「…そんなことないと思うけどなぁ」
頬をほんのり赤く染めたとーやクンの言葉を。
やんわり否定してはみるものの。
…私。
“ザル”なんだよね…。
お酒は好きだからよく飲む。
もちろんお酒だから酔いはする。
でも。
どんなに飲んでも潰れない。
周りが酔い潰れても。
私自身が潰れたことは一度もないんだ。