不器用なシタゴコロ

『……ッ!!』





寄り掛かっていたソファーに全体重を預け。

顎に添えられた手で上を向かされる。



向かされたすぐ真上には。

サラサラの前髪が落ちて。

私の顔に影を作る彼の顔。





首は痛い。

でも。

こんな近くに顔があるなんて。

心臓によくない…ッ!!





必死に顔を背けようとするけど。



「ダーメ。
ちゃんと言うまで離さない」



彼の手のひらに顎と頬を押さえ込まれて動けない。





「…言ったデショ?
“言わなきゃ誰の名前も呼ばせない”って」





そう言って彼は。

徐々に私との間をつめてくる。





…どうしよう。

どっちの名前を呼べばいい?

“とーやクン”?

それとも。

“モモクン”?





近づいてくる距離に耐えきれず。

私はギュッと目を瞑った。



 

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