不器用なシタゴコロ
「…もいっかい…」
『…とー…ッ…』
「…もいっかい」
『…とーや、ク…んッ…』
自分が言わせるくせに。
言おうとすると唇を塞がれて言葉にならない。
「…ちゃんと呼んで…?」
とーやクンが囁くたびに。
触れたままの唇から微かに感じるビールの香りが。
妙にリアルでドキドキが増す。
…呼びたいのに。
呼ばせてくれないのはとーやクンの方だよ…。
最後まで言わせてもらえない。
触れているだけが物足りない唇。
それがすごく焦れったい。
その時。
唇に感じていた感覚がなくなって。
私はそっと目を開けた。
『…とーや、クン…?』
とーやクンの目はすごく優しくて。
でもとても熱っぽく。
その視線が交わるたびに。
体の奥の方から熱くなるのがわかった。