不器用なシタゴコロ
でも、とーやクンは立ち上がろうとしない。
それどころか。
『だ…誰か来たよ?』
「ほっときゃ帰るよ」
居留守、使おうとしてる…。
『…仕事の人とか?』
「それなら電話の方が早い。
マネージャーなら電話かけてきてから来るし」
不機嫌なとーやクンは。
変わらず不機嫌なまま。
そしてチャイムは。
“居留守”がわかっているかのように鳴り続ける。
ピンポーン…ピンポーン…ピンポーン…。
「…誰だっつーの…」
いいかげん鳴り止まないチャイムに。
思いっきり不機嫌な声でそう呟いて立ち上がると。
リビングの端にあるインターホンに向かって歩きだした。
…た、助かった…。
あの不機嫌な顔で威嚇されたら。
私、勝てる自信ないわ。
暫しの休息に“ハァー…”とため息を吐いたとほぼ同時。
「なッ…?!ミズキくんッ?!」
とーやクンの驚いた声がチャイムの代わりに響いた。