不器用なシタゴコロ
ほんの数秒。
ううん。
ひょっとしたらほんの一瞬かもしれない。
目が合っていた。
まるで瞳だけ違う意志を持っているかのように。
真っ直ぐ見てる。
…その瞳に、吸い込まれそう…。
パッ。
次の瞬間。
彼は視線を逸らすと。
「…じゃ、気をつけて…」
そう一言。
呟くように言って走りだした。
…まだ止み切ってない雨の中。
傘もささずに…。
…カコンッ…。
「…え…?」
カコン?
何の音…?
彼が立ち去るのとほぼ同時。
足元の方で音がした。
そこは彼の立ってた場所。
黒くて四角いものが落ちていた。
…なに、これ…?