この隙間、僕の存在。
俺が浮かない顔をしていると樹裕は
「どした? 行きたくねーの?」
なんて笑って話しかけてきた。


「あぁ、彼女が別の男のとこ行ってないか心配とか?」
冗談交じりにそういうが
「そんなんじゃないから」
彼女なんていたことない俺から言わせてみればただの嫌味にしか聞こえなかった。


「え、何? お前いねーの?」
「悪いかよ」
「いや、意外。割と容姿も悪くねーし、お前なんとなくいいやつそうだから彼女とかいっぱいいそうなイメージだったわ」
「いや、いっぱいいたらダメだろ……」
と、軽くあしらったもののそんな風に言われるとたとえ相手が男でもちょっと嬉しくなってしまう自分が憎い。


「んじゃ、お前はなんのために行くんだ?」
「ん」

樹裕はすごく不思議そうな顔をしてきく。


「いや、なんのって」
「なんかなー。俺が見た中で死んだ人間が起こす行動は2パターンあるんだ」
「ん? 2パターン?」
わざわざ指を2本立てて、俺の方を向く。

「そう、2パターン」

自信満々に話しだした樹裕に俺は頭の中に「?」マークを浮かべたまま、耳を傾けた。





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