1970年の亡霊
「やっぱり、襲った相手と消えた死体は繋がっているんですかねえ」

「それは所轄が捜査してんだろ……」

「加藤さんはどう思います?」

「俺は言える立場の人間じゃねえよ」

「加藤さん個人の見解を伺いたいんすよ」

「憶測では話さねえ……」

「まあいいでしょう。そうそう、使われた実弾なんですけど、滅多にない代物なんですって?」

「……」

 加藤には初耳の話だった。表情にそれが表れてしまった。

 池谷は、してやったりというような顔をしながら、

「9ミリのオートマチックで、ホローポイント弾……調べてみたんですが、殺傷能力が通常よりも数段高いとか?」

「知らん」

「襲撃現場に薬莢が一つも残されていなかった事から、最初は回転式のやつじゃないかって思われていたのが、三山さんや死んだ三枝さんの身体から摘出された弾丸を調べていくうちに、こりゃあオートマチックだと。使われた拳銃も大よその見当がついてるらしいですよ」

「そうか……」

「H&K(ヘッケラー&コックス)社製じゃないかって。その銃、NATO軍の制式拳銃にもなっている優れもんで、この日本じゃ警察のSATか自衛隊が使用しているらしいじゃないですか。銃に詳しい暴力団関係者に聞いたら、そんな上物、闇の世界ではまず出回らないって言っていましてね……どうです、ブンヤの情報もたまには役に立つでしょ」

 得意気な顔をする池谷を、思い切り殴り倒したいと思った。




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