1970年の亡霊
「園田二尉、入ります!」

「お前も来たか……」

「三佐、もはや事は急ぐべきではないかと、意見具申に参りました」

 園田二尉の言葉に能勢三尉も身を乗り出し、

「同士は何時でも行動出来る態勢であります!」

 と、鹿島三佐に迫った。

 鹿島三佐は、暫し間を置いてから、

「今回の殉職者の中には、我々の同士も含まれていた……。もはや、我々は張子の虎のままでいる訳には行かない。国軍として、真に国防を担う姿を勝ち取る時期が来た……」

「はい!」

 園田と能勢の二人が同時に声を上げた。

「つるぎ会の発動だ」

「はっ!」

 その言葉を待ち望んでいたかのように、二人の若い尉官は踵を鳴らし、直立不動の姿勢を取った。



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