1970年の亡霊
「司令、習志野から空挺部隊が到着しました」

「うむ。早速部隊長を呼んでくれ」

「はっ」

 臨時の作戦本部となった新宿アルタの一階店舗で、自衛隊側の主だった者が集まった。

「歌舞伎町を制圧すれば、ほぼ首都圏の鎮圧は終わった事になる。今までに無い、激しい抵抗が予想されるが、我々はこの日の為に厳しい訓練を積み重ねて来たのだ。諸君の奮闘を願う」

 司令官の訓示が終わると、即座に作戦部長がそれぞれの配置と突入作戦を説明し始めた。

「練馬の普通科部隊はサブナードの地下道から進み、各バリケードの正面から突入。同時に地上からは朝霞の装甲車部隊がバリケードを排除。空挺部隊は、ヘリで上空からコマ劇場前広場に降下。その際、上空支援として、コブラが三機待機しているから、連絡を密にして迅速に対応する事。尚、ビルが密集している為、狙撃を受ける可能性が高い。一つ一つ確実にビルを制圧し、後続の安全を図る事。以上、何か質問は?」

「投降者の処遇については?」

「武器を所持していない者、負傷して抵抗の意志を失った者、それと女性は収容保護する。それ以外の者は、全て射殺せよとの指令が出ている。他に質問は?」

 ここまで来れば、全員が何を為すべきかを判っていた。数時間後、戦場さながらの状況に歌舞伎町は変わる。これまでのような、局地的な小競り合いとは違い、本格的な戦いだ。隊員の中にも負傷者が出る可能性は高い。

 各部隊長は、自分の部下達が無事にこの制圧作戦を終える事を願っていた。



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