1970年の亡霊
 三枝は、自分の見知らぬ男と親しげに歩いて行く三山を複雑な思いで見ていた。

 道路を隔てた反対側の歩道からその姿を追っているうちに、三枝もつられてビアホールへと入って行った。

 俺は何やってんだ……

 これじゃストーカーじゃねえか……

 そう思いながらも、彼は気付かれないよう、三山の姿を追っていた。

 メールの返信が無いのはそういう事かよ……

 所詮、あの人もその程度の女だったって事か……

 こっちは事件に関わるかも知れない大事な話だっていうのに、デレデレしやがって……

 何をもって所詮その程度か、と感じたのか、はっきり言って三枝本人にも判っていない。

 自分を疎外されたというやっかみの気持ちがそう思わせたのだろう。

 三枝は強くもないビールを一気に飲み干した。



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