―you―
 決まった席なのか、あなたと奈緒さんは向かって座り、俺はその間の席に着いた。
「丁度出来上がったの。さ、食べて」
「頂きます」「いただきます」
 見るからにおいしそうな物は、食べてもやはりおいしい。俺はみっともないとは解りながらも、どんどん箸を進めた。
「おいしい?」
 はい、おいしいです。俺はそう言ったつもりだったが、はたしてそう聞こえただろうか。奈緒さんが笑み、あなたは喉で笑った。
「そんなにおいしそうに食べてもらえると、私も嬉しいわ」
「あの、」
 今度はちゃんと飲み込んでから喋る。
「奈緒さんは、あまり食べないほうなんですか?」
「そう見える?」
 見えない。と言ってしまえば失礼だが、奈緒さんはふっくらとした体型だ。
「私はね、私の作った料理をおいしそうに食べて貰うのが好きで」
 奈緒さんはにっこりとあなたを見た。
「千尋は大学サークルの後輩なんだけど、」
「奈緒はマネージャーだろ?それは先輩と言うのか?」
「いいじゃない。でね、優ちゃん」
「はい」
「千尋がまたおいしそうに食べるのよ」
 奈緒さんは頬を染めた。あなたの頬も赤い。
「奈緒。俺は君と暮らして体重が増えた」
「幸せ太りよ」
 二人の左薬指には、同じデザインの指輪がそれぞれされている
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