―you―
4 居場所が欲しい、あなたの隣でいいから
「ただいま」
「おかえり。いらっしゃい」
「こんばんは、初めまして」
 あなたの伴侶となる奈緒さんは、柔らかい、という言葉がぴったりの女性だった。あなたのマンションを伺うのは初めてだけど、照明や調度など、あなたと奈緒さんの雰囲気に良く合っている。
 あなたは俺を奈緒さんに、奈緒さんを俺に紹介した。
「千尋にも聞いたけど」
 俺を見て奈緒さんは言う。
「本当に細いのね。折れそうよ」
「奈緒さんのご飯を楽しみにして来ました」
 ありがとう、と柔らかく笑った。ご飯出来ているわよ。 

 食卓の上に広げられた料理の品々に、俺は思わず唾を飲んだ。彩りも鮮やかで、匂いも良い。見るからにおいしそうだ。
「どうぞ掛けて」
「あ、はい」
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