Broken†Doll
父の案によると、
エレナは頭が良いし、家庭教師を付ければそれでいい。しかも高等部に入ってしまうと、義務教育は無くなるのだから毎日行くこともないだろう、だそうだ。

順調に通っていれば、本来なら今は高等部の一年生で、もうじき二年生になるはずだった。

しかし、仕事が忙しく、そのせいで本当はすごく行きたい学校も行けなくなった。
そんなエレナは毎日父の仕事の手伝い、またはわんさかいる家庭教師との勉強の繰り返しであった。

学校に行けば、普通に友達もいるし、リョウコという初等部からの幼なじみもいた。

リョウコとエレナは、テスト等で学年トップを競っていたが、結局トップになるのはいつもエレナだった。

リョウコは、いつかエレナを自分の力で越してみせると言っていたが、
エレナが学校へ行かなくなった今、きっとリョウコが自然にトップとなっているだろう。

それを考えると、エレナはリョウコにすごく悪いことをしてしまったと思った。

そうしてエレナは全て他人の意思のとおりに動かなくてはならず、
完全に自由を与えてもらえなくなってしまった。

そんな自分が人形と重なって見え、最近では自分が人形になり、操られ苦しむ夢までも見るようになったのだ。

エレナには一人の兄、翔(かける)がいるが、全くのやる気なしで、父の言うこともあまり聞かないために、
やはりエレナが全てを負わなければならなかった。

白く大きい城のような大豪邸に住み、小さい頃からずっと暮らしてきたが、
エレナにとってこの家は、鳥かご以外の何物でもなかった。

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