Impression~心の声

少し恥ずかしかったけど、私はもう一度頷いた。
「刺繡お母さんの趣味だったの、習って作ってみたの。」
　勇はハンカチを何度も眺め微笑んだ。汗なんか拭いたらもったいないってＴシャツの袖で汗を拭った。その仕草が可笑しくて私も一緒に微笑んだ。
「手紙、見つけたよ。」
　一瞬ドキッとした勇の感情が伝わってくるようだった。
「ごめん、本当は伝えるべきではなかったのかも知れない。だけどどうしてもこの気持ちを残したかったんだ。本当にごめん。」
「誤らないで。私凄くうれしかった。」
「えっ？」
　勇は真剣な眼差しで私を見つめてくれた。
「今度は、、、。私が気持ちを伝える番だね。」
「私も勇のことが好き、、。」　
「私、気付いたの勇のことが好きなんだって、誰よりもいとおしいって。」
　勇は何も答えなかった。
「私は勇と一緒に幸せになりたいよ、、。」
　勇はそっと私の肩に両方の手をゆっくりと置いた。
「僕はこんな形（なり）をしているんだよ。この先元に戻るかはわからない、、。美鈴ちゃんは写真で見た幻の僕に興味を持ってくれただけなんじゃないかな？」
　勇はそう言って帽子を取り、太陽光のした素顔で私を見つめた。
「私は今の勇が好きなんだよ。」
　私はゆっくりと勇の頬に手を当て火傷のあとを撫でた。
　勇の瞳から涙が溢れた。
　大丈夫私がきっと守るから、、。
　何時しか私の心の中にとても強い感情が芽生え始めていた。自分以上に大切で、自分以上に守りたい、自分以上に傷つけたくなくて、自分以上の幸せを望む。私は心の中でそっと誓った。