Impression~心の声
〝この気持ちを愛と呼ぼう〟そして何時までもこの気持ちを大切にしてゆこうと、、。
勇は私の肩を強く抱いた。
「僕は必ず美鈴ちゃんを幸せにする。」
 私は頷いた。
 太陽は私たちを真上から見下ろし、小波は心地よい音を奏でていた。こんなに人を好きになるなんて始めてのことだった。
そして私は知った、その感情の素晴らしさを。
 季節は巡った。小説のページをめくるように。春が来て夏が来て秋が来て冬が来る。東京の気候とは全く違うものだったけど、その季節を私は肌でいっぱい感じた。知らないことを知ること。それはとても素晴らしいことだったし、気付かなかったことに気付くことはとても大きな意味を運んできてくれた。
私の中に心は確かに存在した。そのことを教えてくれたのは勇だった。私の心にも勇の心にも色があり温度があった。そんな大切なことを勇は私に教えてくれた。同じ物を見つめ同じ感情を抱く、まるで二人で一つの種を育てるように。
この愛に生きて私はとても幸せだった。勇の傷跡は歳をつれるにしたがって自然と消えて行った。時が感情を洗い流してくれるように、その傷も何時しか洗い流された。
第一印象はとても大事な物だったけど、根本を追求するのなら見えるものだけ信じてはいけない、心の声を大切にしなければ、必ず答えに迷ってしまうだけだった。目で見えないものは感じればいい。それが私の答えだった。
私たちは、一人の男の子を授かった。名前は優(ゆう)きっと優しい子になると思う。母親は実家を売り隣に小さな家を建てた。香織は夏休みの度にここを民宿代わりに遊びに来てくれた。一日一日が私にとっての記念日であり、思い出となった。
変わらないものは美しい青い海と、手の届きそうな星空だけだった。
人生を一緒に歩む勇に一つだけお礼を言えるのだとしたら。
私は勇にこう言いたい。
心から、、。
愛してくれて、ありがとう。 
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