花の名


「分からない…」

「分からないって、どうゆうこと?」


「だって、なんて説明したらいいか分からないんだもん!!」


気づいたらあたしは叫んでいた。


まるで鳩が豆鉄砲をくらったみたいな顔をする彼。


だけど、止まらない。




「だって、気持ちがぐちゃぐちゃなんだもん

 西浦くんと付き合い始めてから、毎日楽しいけどいつもドキドキして緊張するし

 なのに今日は、アミちゃんと楽しそうに話す姿見てたら、嫌な気持ちになって



 初めてで、こんな気持ち分からないんだもん」




好きだけじゃいられない感情。


苦しくて

胸がいたくて。




こんなあたし見せたくないのに。






「…ごめん、千尋」


「違っ!西浦くんは悪くない」


「いや、そうじゃなくて


 …嬉しいんだけど」


はぁ、と一息つきながら、その場にしゃがみ込む彼。


少し照れたように笑いながら、あたしを見上げる。






「自惚れてもいいのかな」




「えっ……」




あたしもゆっくりしゃがみ込んで、彼と目線を合わせる。






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