花の名




「千尋、一緒に帰ろう?」


あたしが帰る支度をしていると、ひょいっとあたしの鞄を持ち上げて彼は笑った。


「金谷たちと帰らないの?」


いつもだったら、バイバイって笑いながらみんなと帰っていく彼。


なのに今日は違う。


「だってさ、俺は千尋の彼氏だから一緒に帰りたいって思うんだよね


 ダメかな?」


付き合い始めたら、一緒に帰る。


昨日までは友達だった人だから、なんだか変な感じがする。


「ダメじゃないよ…」


小さく呟いた。


彼はなにも言わずに、嬉しそうにガッツポーズしていた。


思わず胸がうずいた。






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