花の名
だから、そんな彼がなんであたしなんかを好きになったのかが謎だ。
「千尋、おはよう」
ドサッとあたしの隣の席に腰掛ける彼。
ニヒッと口角をあげて笑う彼につられて、あたしも笑ってしまう。
「…おはよう」
まるで昨日のことが夢みたい。
「………」
「…昨日のことさ、考えてくれた?」
「えっ!?」
「千尋のことだから、テンパるだろうなとは思ったからな~
だから、1日猶予をあげました」
意地悪そうに笑う彼。
そんな彼を見て、思わず胸が揺れた。
それは昨日よりもハッキリと。
「…あの、」
「ん…?」
あっ、ダメだ。
今までなんにも感じなかったのに。
なのに今更、彼の光に当たるなんて…。
優しく笑う彼を見たら、なにも言えなかった。
「うん……」
ただ頷くことしかできなかった。