ずっと君の隣で。

(こんな夜に誰…?)

不思議に思いながらもペースを落とさないように足を動かす。

調子のいい走りを止めたくなかった。

でも…止めざるを得なかった。

「…ッ!」

黒い影はやがて人の形になり走る人の姿になる。

時計を確認すると、夜の10時半。

タッタッタッタッタッタッ

その人は、私と同じ歩幅で同じリズムで走ってくる。

(キレイ…)

私は思わずそのランニングフォームに見とれていた。

左右に揺れない重心、肩。

しっかり振られる腕。

きれいな形をした足がアスファルトを蹴る。

かかとから足をつき、つま先でける。

(誰なの…?)

通る瞬間私は顔を上げた。
< 3 / 10 >

この作品をシェア

pagetop