This is us
「…泣くなよ。どうしていいか分からねぇだろ」


俺は慌ててローテーブルの上に置いてあるティッシュを数枚抜いて、彼女に渡す。

「だだって…嬉しすぎて、幸せすぎて…」

泣くほど喜んだ事がない俺にとって、少し衝撃だった。

どんな気持ちなのか、どれ程嬉しいのか。

それは自分が想像していた彼女の喜んだ顔を、遥かに越えていて。

なんだか自分まで嬉しくなってくる。


「ありがとう…結城くん」

そして、彼女はぱっと咲いた花のように明るく笑った。

俺が今まで見た中で一番の笑顔。


それを見たらどうしようもなく愛しくなって、気が付いたら強く強く抱き締めていた。


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