This is us


「ありがとな、相原」

「いや、引き止めて悪かった。話せて良かったよ」

その後相原が連絡先を交換したいと言って携帯を取り出して、お互いに登録した。


「じゃあまたな」


相原と別れて、俺は改めて図書室へと向かう。
春のやわらかな風が、どこからともなく吹き抜けていった。


「あ、結城くん。今授業中じゃない。またサボり?」

本は物心ついた時からずっと好きで、高校の図書室もすっかり常連だから、司書の先生が俺を見つけて話しかけてきた。

「あぁ、ホームルームだしいっかなって。それよりアレ返ってきた?」

「"月影"?まだ返ってきてないかな。結城くんにしては珍しいね」


俺が好んで借りるのはいつも堅苦しい文献や、時代小説だから。
"月影"は現代の切ない恋愛を描いたもので。

結構人気があるみたいだ。

「たまには息抜きで」

「へぇーえ。確かにすごくいい小説だった」

眼鏡を持ち上げながら先生は"楽しみにしてなさい"と言って、カウンターの中へと戻っていく。

俺は適当に図書室の中を歩いてまわることにした。何か面白そうなのがあったら、今日はそれを借りよう。


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