This is us
水滴がついた画面の端に、圏外の赤い文字。
「…どうする?」
「どうするって…まぁ何とかなるだろ」
ぎこちない会話。
なつめ達はなつめ達でうまくやるだろう。
雨はすぐに止んだみたいで、溜まっていた人がどんどん出ていくのを暫く見つめていた。
「…帰る?」
ふと、言葉を落とした小田切にはっとして視線を合わせる。
帰る…
確かに、帰りたかった。
はずなのに、何故かもどかしい気持ちに襲われる。
「…花火」
「え?」
「花火見たくね?」
大きな二つの瞳が、みるみる見開いていく。
なんだか急に恥ずかしくなって、ふっと視線を外した。
自分でもよく分からない。
何がなんだか、頭の中がぐちゃぐちゃで。
「…うん、見たい」
かぁーっと熱くなる胸に、込み上げる感情に、どう言い訳したらいいのか。
ただ、知りたかった。
ただ、救い出して欲しかったんだ。
こんな、つまらない日常から俺を…―――
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