This is us



デパートを出た私達は、人で溢れる商店街を歩き始めた。


群青色の綺麗な空には、星が無数に輝き。

満月が、夜の闇を明るく照らし出していた。



さっきの雨が嘘みたい。


けれど、雨が降らなかったら彼との距離はいつまでも遠いままだったと思う。



「腹減った」


喧騒に紛れて低い彼の声が、頭上に落ちてきた。


顔を上げると、半乾きの髪をかき上げる彼と目が合う。


その妙に色っぽい仕草に、思わず目を奪われた。


「何か食う?」


何も言わない私に、少し怪訝な表情をする。


「…あ、うん!」


私は慌てて頷いた。

さわさわと生暖かい風が頬を撫でる。


それに乗って、


「あれ、西高の結城くんだ」


「カッコイイ〜!」


「一緒にいる子って彼女?」


「え〜違うでしょ?!」


と、女の子達が騒ぎ立てる声が聞こえてきた。


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