This is us



彼は全く気にしていない様子で、立ち並ぶ屋台を物色しながら歩いていく。


「お好み焼き二つ」


「はい、千円ね」


私が不快な思いをしている間に、彼はポケットから財布を取り出して、お好み焼きを買っていた。


「あ、お金…」


「いいよ、こんくらい」


「…ありがと」


彼の背中は、細身なのに思っていたより大きくて。

逸れないように、しっかりとその背中を見つめた。


商店街から外れた狭い小路へ入って、いくつもの角を曲がって辿り着いたのは…。



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