"code = choice"
「いったい・・・何が起きているんですか?」
瀬戸さんの声が、微かに震える。それもそのはずで、阿部先生の表情に悲壮感が漂い始めているのだ。
「駆除したウィルスからコピー元のウィルスにデータが送信され、耐性を持ったリメイク版が自動繁殖しているようです。
その新型に対するワクチンの製造をしなければなりませんが、再び同じことが起きるでしょう。
もしかすると、あと20時間余り、防ぎ切れないかも知れません」
「ちょ・・・それって―――」
「やるしかないでしょう」
阿部先生が再び自分のパソコンに向かい、リメイク版に対するワクチンの製造に取り掛かる。
しかし、画面上の数字は、既に40000を切ろうとしている。
その時、会議室の扉が勢い良く開き、あの男性社員の姿が見えた。その入室してくる勢いから、何らかの急用であることは間違いない。
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