一番星

ホテルから出できた彼女を呼び止める。

振り向く彼女。
驚く瞳。

しかし、すぐに表情が無くなった。

「何ですか?」

他人行儀なそのセリフに心が痛む。

しかし、伝えなければ。

「君と別れてからずっと後悔してきた。自分勝手な理由で別れを告げてごめん。でも、今でも好きなんだ。」

いい返事など返って来ないとは百も承知で言った。

暫くの沈黙。

「いいよ。より戻しそう。」

と聞こえた気がした。

えっ?と聞き返す。

「だから、付き合いましょって言ったのよ。」

意外な返事過ぎて思わず黙る。

しかし、徐々に理解してきた。

かと思えば、彼女は俺の手を引く。

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