亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


月夜まで時間は限られている。レト達は無事に城に辿り着いているだろうか。
あの親子に限って……何も、無ければいいが。


…今、彼等の安堵が全くもって分からない。もやもやとした不安を孕む息を吐いたマナだったが、その傍らに佇むダンテだけは、苦虫を噛み潰した様な表情でそっぽを向いていた。

「………………俺はあのガキ、気に食わないな。王族だからって威張って…とにかく無礼な奴だ」

…などと、いつぞやの悪態を吐く我が息子に、マナは冷笑を浮かべる。

「………嫉妬?」

「断じて違う!!違うからな!!笑うなババア!!」

…こちらに振り返るや否や、ダンテは即効で否定した。
何でそんなに必死なのよと問えば、ぐっと口ごもり、何故か顔を赤らめる我が息子の姿が…ああ、痛々しい。


勿論の事、この何処からか湧いた話題にユーモア大好きな男、アオイが食いついて来ない筈が無く。
…何ともいやらしく、思わず殴りたくなるニヤニヤ顔で、頬をツンツンと突いてきた。


「え、何なのかなダンテ君。まーだお前、引きずってんの?引きずってんの?ねー、引きずってんの?」

「楽しそうだなお前!!引きずってなんかいない!!引きずるものなんて何も無い!!」

アオイの手を払いのけ、大声で食ってかかるダンテに、「嘘おっしゃい!」と母の勇ましい一声が突き刺さる。


「ダンテ…母さん知ってるのよ………毎日毎日夜中に独り、こっそり何処かに行って地面に穴掘って頭突っ込んで……『山の神様、雪の神様、風の神様、俺の告白を聞いて下さい!このどうしようもない胸の痛みで俺は死にそうです!』…って悶々と懺悔みたいな事をしているのを。乙女か!母さんそんな子に育てた覚え無い!」

「…の、のの、覗きなんて悪趣味だ!!仕方ないだろ引きずってるんだから!!」

「認めおったぞこいつ!!」
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