亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
左目の隻眼で訝しげな視線を送れば、イーオは再び柔らかな笑みを見せた。
「貴方が、必ず私の言う通りにしてくれる事が前提…そういう意味よ。…私の言いたい事、分かる…?」
笑顔で紡がれる意味深な条件を、ジンはすぐに、理解した。
一見、至極簡単で、単純な様に思えるイーオの言葉は、裏を返せばそれは。
「………私は、我が陛下に絶対の忠誠を誓う者です。陛下のためとあらば、手段は選びません。御心配なさらずとも………私は、そういう人間です」
「…そう。……それを聞いて、安心したわ。………あの二人には、ちょっと言い辛かったから…本当、貴方で良かったわ」
目の前でヨルンの牙を避けながら剣を振るイブとリストを見詰めて、イーオは目を細めた。
…あの二人に言えばきっと、反対するだろうから。
いつの間にか髪や肩に積もっていた雪を、ジンの手が優しく払う。
猛吹雪を防ぐには薄すぎるかもしれない古びたショールは、防寒の役割も果たせずにすっかり冷え切ってしまっていたが、肌を刺す寒さなど…イーオは気にも止めていなかった。
「……ごめんなさいね、こんな事…貴方にお願いしちゃって。………嫌な思いをするのは、貴方なのに…」
「………こういう役は、慣れております」
条件をすぐに了承し、そして無感情な声で淡々と答えるジンを、イーオは苦笑を漏らしながら一瞥し…視線を、ヨルンに戻した。
「………貴方は、とっても優しいのね」
「―――いいえ」
「………………それじゃあ、もう終わらせてしまいましょうか。…あの子の苦しそうな姿…もう、見てられないもの」
ヨルンの起こす大地の揺れの影響か、城の結界が徐々に薄く、弱まりだしているのが目に見えて分かった。
…城の何処かにいる筈の、ユノの暴走する魔力の侵食が、やけに早いのだ。
厄介な二つの魔力に挟まれた最悪な状態によって、ただでさえ本来の力の半分も出せない自分の魔力が、時間の経過に伴い無効化されているのだ。
…これは、危険だなぁ。
焦燥感に襲われながらも冷静に頭を回転させ、ノアは外の城壁辺りに姿を現した。
「貴方が、必ず私の言う通りにしてくれる事が前提…そういう意味よ。…私の言いたい事、分かる…?」
笑顔で紡がれる意味深な条件を、ジンはすぐに、理解した。
一見、至極簡単で、単純な様に思えるイーオの言葉は、裏を返せばそれは。
「………私は、我が陛下に絶対の忠誠を誓う者です。陛下のためとあらば、手段は選びません。御心配なさらずとも………私は、そういう人間です」
「…そう。……それを聞いて、安心したわ。………あの二人には、ちょっと言い辛かったから…本当、貴方で良かったわ」
目の前でヨルンの牙を避けながら剣を振るイブとリストを見詰めて、イーオは目を細めた。
…あの二人に言えばきっと、反対するだろうから。
いつの間にか髪や肩に積もっていた雪を、ジンの手が優しく払う。
猛吹雪を防ぐには薄すぎるかもしれない古びたショールは、防寒の役割も果たせずにすっかり冷え切ってしまっていたが、肌を刺す寒さなど…イーオは気にも止めていなかった。
「……ごめんなさいね、こんな事…貴方にお願いしちゃって。………嫌な思いをするのは、貴方なのに…」
「………こういう役は、慣れております」
条件をすぐに了承し、そして無感情な声で淡々と答えるジンを、イーオは苦笑を漏らしながら一瞥し…視線を、ヨルンに戻した。
「………貴方は、とっても優しいのね」
「―――いいえ」
「………………それじゃあ、もう終わらせてしまいましょうか。…あの子の苦しそうな姿…もう、見てられないもの」
ヨルンの起こす大地の揺れの影響か、城の結界が徐々に薄く、弱まりだしているのが目に見えて分かった。
…城の何処かにいる筈の、ユノの暴走する魔力の侵食が、やけに早いのだ。
厄介な二つの魔力に挟まれた最悪な状態によって、ただでさえ本来の力の半分も出せない自分の魔力が、時間の経過に伴い無効化されているのだ。
…これは、危険だなぁ。
焦燥感に襲われながらも冷静に頭を回転させ、ノアは外の城壁辺りに姿を現した。