亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



暗中模索同然に、父の姿を捜す。

ユノとサリッサの二人も父と一緒の筈だ。
父は確かに強いが、二人も同時に守れるだろうか。

(………合流しないと…!)


激しい吹雪きだというのに、漂う蒸気はなかなか晴れてくれない。
足元で籠った熱気により、積雪がまだ溶け続けているからだろう。蒸気は次から次へと溢れてくる。

ほとんど霙と化した地面を走り、蒸気の中から抜け出そうとするレトだったが…。



先程から鼻を突いていた鉄の臭いが………不意に、濃ゆくなり……そして。







振り返り様、レトは剣を大きく振った。

青白く光る閃光は蒸気を断ち、水滴を帯び。













他人の鋭利な刃を、受け止めた。


瞬間、白い靄の中で、赤や黄色の火花が散った。

怯む事無く頭上から降りてきた刃を剣で押せば、相手も全体重をかけてくる押し合いが始まった。



レトはまじまじと、相手の姿を見詰めた。




…純白の長いマントを羽織り、フードを深く被っていてその顔は分からない。
一見、狩人に似た姿をしているものの、明らかに異なる人間だ。
押し合いをする相手の剣はよく鍛えられたもので、柄の部分には変な模様が彫られている。


……それを握る相手の体格もかなり大柄で、並外れた鍛練によって鍛えられた身体は、まるで成熟した狩人だ。



………体格の差なのか、この押し合いは圧倒的に相手が有利だった。
交えた二つの剣は、震えながら次第に降りていく。









………何処からか、刃が重なり合う鈍い音が聞こえてきた。

ハッとして辺りを見回すが、やはり何も見えない。
………しかし、そんなに遠くはない。



(………父さん…!)
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