亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

この爆弾が爆発しようがどうなろうが、防ぐ術を持っているローアン達にとっては何の問題も無い。自分達はいい。だがしかし……。

「………昼間の…王族と狩人達が気になるな…」

狩人といえども、天災には歯が立たないだろう。加えて王族の少年は、昼間の騒動からしてまだ危険な状態であるに違いない。……この嵐が爆発する時、はたして彼らは無事でいられるのだろうか。
…こればかりは、どうする事も出来ない。

……どうか、無事で…。





「―――…陛下っ…」

神妙な顔つきで考え込んでいたローアンに、低い声音のジンの声が投げかけられた。先程よりも鋭い眼光を放つジンの左目は、頭上の嵐を凝視している。

「………風が…次第に止んでおります」

ジンの言うとおり…確かに、あんなに激しかった猛吹雪の勢いがおさまってきていた。真横や斜めに吹き付けていた雪の群れも、徐々に垂直に降下してきている。

「……ジン…」


ローアンは、再び空を見上げた。やけに不気味で、静かな嵐が……そこにある。







「―――…来るぞ……馬鹿デカいのが…」

























「―――…ちょっと…何か…来るよ。……来るんだけど…」

「………言われなくても分かってる…」

何か来ることぐらい、分かっている。……でなければこんなにも…身体が震える筈が無いではないか。

真っ暗な、深い深い谷底をとぼとぼと歩いていたイブとリスト。大大嫌いになった狩人やバリアン兵士と出くわさぬ様、この谷底というルートを選んでひたすら進んでいた二人だったが…………この谷底にまで吹き付けてくる吹雪の勢いが何故か衰えたと同時に………奇妙な緊張感が、二人を襲った。

尖らせた神経が感じ取るのは、とにかく、大きな……大きな、何か。
無機質で、殺意の無い…何か。


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