亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
………。
「………白槍、通訳…」
深くフードを被っていても、向かい側に座る黒槍が眉をひそめたのは手にとる様に分かった。
「………知るかボケ、だ」
「それ、絶対俺に言ってるだろ?意味は一緒かもしれねぇがオルディオ的じゃなくて白槍的解釈だろ、てめぇ」
白と黒。対照的なもの同士だが、馬はよく合うこの二人の長。
多くの配下を引き連れる柱の長が、同じ時に同じ場所に揃っているのはあまり良くない事なのだが………互いを相棒と認識している二人は、そんな事知った事ではない……と、よく一緒にいる。
二人いっぺんに殺られてしまえば、白槍も黒槍もそれでお終いなのに、だ。
納得いかないとばかりに黒槍が喚き、白槍がそれを完全に無視していると………始終、石を転がしているだけの少女が、ポツリと言葉を紡いだ。
「…………………………嘘でも、本当でも……………どちらにせよ、関係無いと思う。………ドールに、とっては…」
……カチッ、と白と黒の小石が当たり、赤の小石はそこから離れる様に少し離れた場所にまで転がっていった。
赤色がポツンと、一つ。
焚き火の明りに照らされ、濃い影を作る。
孤独の中で際立つ、赤い石。
「……………どんな無理難題でも…罠同然でも…ドールは…………行くよ。………………………父親のためなら……」
「………」
孤独な小石。
孤独な赤色。
孤独な、ドール。
……孤高の…ドール嬢。